2017-11

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「ジャッジの匿名廃止」だけじゃ何も変わらない

こちらの更新記事で「ジャッジの匿名が廃止されても何も変わらない」と述べさせていただいた

他のブロガーさん情報、Twitterのやり取りでは「ジャッジの匿名廃止は大きな進歩。
これでおかしな採点は無くなる」という意見は多く出てました。
はっきり言ってワタクシぶーもアホで真意が読み取れなかったからよっしゃあ!!!とぬか喜びしたもんさ。
でも時間が経つうちに、なんかおかしくないか?という思いが強くなりこの結論に至りましたので
なぜこの結論に至ったか根拠を述べさせていただく

1.現在のパネルジャッジ開示システムはどうなっている?

公式戦のジャッジングシステム、パネルジャッジの開示状況は以下のようになっています


 ISUグランプリシリーズ
 2016スケートアメリカ女子パネルジャッジリスト

 ISU選手権大会
 2016世界選手権女子パネルジャッジリスト

赤で囲っている部分を見比べていただきたい
GPSでは採点ジャッジの国籍が開示され、ISU選手権では非開示になっている
ISU選手権では10月末にISU選手権大会に参加する採点ジャッジドローというものが公表され
この時点では参加ジャッジの国籍ジャッジのみが開示され、大会期間後はジャッジの氏名のみ開示というスタイルをとっているからである
2016年欧州選手権採点ジャッジドロー
※『1』のチェックマークが付けられているのがユーロに参加することが決まったジャッジ国籍。13人いてSPで9人が
FSではSPの抽選に外れた4人と、SPに参加した5人が採点ジャッジとして参加


これじゃあ誰がどこの国籍かわからへんやん!と思われるかもしれませんが
どの人物がどの国籍かだけは調べる方法だけはあります

それがISUが公表している『オフィシャルリスト
「オフィシャル」とはレフェリー、採点ジャッジ、テクニカル・コントローラー(TC)、テクニカル・スペシャリスト(TS)、アシスタントスペシャリスト(ATC)
データ&リプレイオペレーターなど採点に参加するすべての担当者をひとまとめにしたものですが
採点ジャッジドローから国籍を拾って、オフィシャルリストからISU選手権大会に参加したジャッジ名を探し出せば
方法は面倒くさいですが調べることは可能にはなっています
若しくはGPSに関しては国籍も氏名も開示されていますので、ISU選手権の参加ジャッジでGPSにも参加していたジャッジがいなかったかを調べて照合する、という方法もあります

ところが現行のジャッジングシステムに関して、プロトコルには実は2種類あるという事をほとんどの人は知りません
「in random order」というジャッジの並び順をシャッフルするというシステムを採用している大会と採用していない大会があるのです
その違いを述べてみたいと思います

2.「In random order」採用と不採用の大会の違い
B級大会にはこのin random orderを採用していない大会がいくつかありますので
2015年クリスタルスケートシニア男子の実例を挙げてみます

in random order不採用の場合

パネルジャッジリスト
2015年クリスタルスケートシニア男子パネルジャッジリスト
FSプロトコル
2015クリスタルスケートシニア男子FSプロトコル
1番のジャッジADREANA ORDEANU (ROU)というジャッジについて蛍光ペンでチェックマークを入れておきました
このルーマニアジャッジ、競技会場アナウンスでは1番ジャッジとして紹介されます
「in random order」という言葉はどこにもありませんので
プロトコルにはこの紹介順の並びで反映されます
クリスタルスケートの場合、ADREANA ORDEANU(ROU)は出場した全ての選手のプロトコルで1番を担当していると特定できます
in random order採用の大会。これは全ての公式戦に関して採用されているのですが
大会会場で並んでいる席や紹介順と実際にプロトコルで並んでいるジャッジは異なっています。
そして、それは選手によってジャッジの番号はまちまちになっています

一方【in random order】を採用している公式戦について
2916年世界選手権女子FSパネルジャッジとプロトコルを例に挙げてみます
2016年世界選手権女子FS
パネルジャッジリスト
2016年世界選手権女子FSパネルジャッジ

2016年世界選手権女子FSプロトコル① 2016年世界選手権女子FSプロトコル② 2016年世界選手権女子FSプロトコル③ 2016年世界選手権女子FSプロトコル④
蛍光ペンでチェックマークを入れたJudge No.9 Ayumi KOZUKA (ISU)という人物に注目してみてください。
アユミ・コヅカ氏が競技会場アナウンスで紹介されるのは9番目です。
ところがコヅカ氏は
エフゲーニャ・メドベデワには右から2番目、宮原知子には5番目、アシュリー・ワグナーには7番目
アンナ・ポゴリラヤには1番目と、選手によって順番がバラバラの位置で採点を行っているのです
(※システムについて説明する為に便宜上チェックマークを入れただけであって、実際にアユミ・コヅカ氏が担当したわけではありません
どのジャッジがどの採点をしたかわからないように選手によって採点ジャッジの順番をシャッフルするというのが
in random orderというシステムなのです

なぜISUがこのシステムを採用するに至ったかについては2002年ソルトレイクシティ五輪における
ペアスケーティングにおける採点不正疑惑に端を発しています
FSでミスのあったロシアペアが優勝し、パーフェクトに演じたカナダペアが銀メダルに終わったことで北米メディアが「ミスのあった選手が金メダルとはおかしい。採点に何か不正があったのでは?と騒ぎだし
女子FSで採点を担当したフランスジャッジから「アイスダンスでフランスを勝たせる代わりにペアではロシアを勝たせてほしいとフランス連盟から要請された」などという発言が飛び出たため(このジャッジはその後発言を撤回)やっぱり不正があったと騒ぎだして両者金メダルという決着をさせました
これが現行の採点方式に移行するきっかけになったのですが、一時的にフランスジャッジが不正を認める発言をしてしまったためメディアから厳しい追及を受けることとなりました
ISUはこのメディアからの追求からジャッジを守るためにランダムオーダー形式を採用したのでした


3.一人がおかしな採点を行っても結果は順位に影響しない

とはいっても、誰か一人が突飛な採点をしたら影響が出るんじゃないの?と思われるかもしれません
一番よく言われたのは2010年バンクーバー五輪FS,浅田真央の3A+2Tコンボにつける評価でしょうか?
このFSでは韓国のイ・ジヒが採点ジャッジに入っていました
2010年バンクーバーオリンピック女子FSパネルジャッジ
イ・ジヒの紹介番号は7番。
本来はイ・ジヒの採点結果は「in random order」というシャッフルシステムによって
誰の何番で採点が行われたかはわからないようになっているはずなのですが
日本テレビの「真相報道バンキシャ」が浅田真央のジャンプに-2の評価をつけて採点を行っている韓国ジャッジを真後ろからカメラ撮影し
大会終了後発表されたプロトコルで-2評価をつけているのが8番目のジャッジであったことから
浅田真央の8番目ジャッジは韓国ジャッジのイ・ジヒと特定されてしまいました
浅田真央2010年バンクーバーオリンピックFSプロトコル

一部ファンは1人だけ-2をつけるなんておかしい!という声が上がりましたが
イ・ジヒの採点結果はプロトコルには完全に反映されません
なぜなら当時には9人のジャッジが参加しても2人がランダムで事前に除外され(除外される2人はどの選手も同じ)
残った7人の採点結果から最高評価、最低評価一人ずつを除外して
最後に残った5人の平均をとって数値を割り出すというシステムになっていました
(現在は9人のジャッジから最高、最低を独りずつカットして7人の評価平均をとって数値割出)
イ・ジヒがダミーとして除外される可能性がありましたし
仮に7人に残ったとしても-2評価をつけているのはイ・ジヒだけなので最低評価の彼女の採点は除外されてしまうため
真央の採点結果には影響は出ないのです

8人のジャッジが+評価をつけているのに一人だけ-評価をつけるというケースは時折発生します
比較的多いのは浅田真央の3Aと宮原知子の逆回転スピンでしょうか
浅田真央のジャンプに関して-2評価がつくときに「タッチパネルの押し間違いでは?」
「転倒もステップアウトもしてないのにマイナス評価はおかしい」という反応をよく目にしますが
これは採点ミスでもありませんしマイナスがつくのもおかしなことではないのです
そもそも採点ジャッジが採点を行う時、タッチパネルを使用します。「-(+)」「3」などと、キーボードの手入力ではない
そのタッチパネルは↓のようになってます
採点ジャッジが使用するモニター
これでボタンの押し間違いが起こりうるんだろうかと思います
ではこの-2評価がおかしいのか?についてですが、GOEについてはあまり知られていないルールのからくりがあります
それは
「GOE-3」などと指定されているもの以外は
減点要素があっても加点に相当する部分があれば加味して良い
減点項目が複数見つかった場合はそれを足してもよ

というルールです GOEの出し方というのはジャッジはまず加点に相当する分を探し出して最高評価を出します
そこからガイドラインに従って評価を下げていくのです
(2014-2015年までは【GOEは必ず-になるエラー】【最終GOEは±に制約されないエラー】と2種類あって
「必ず-になるエラー」でも高さや繋ぎに工夫があるなどすれば加点部分を考慮してもよかったが
現行ルールではSPでコンビネーションジャンプが1つも入らなかった以外は
「最大評価」-「最高評価」で出すことになっています)

浅田真央がジャンプで疑われやすいのは「回転不足」と「ツーフット」。
テクニカルスペシャリストが「回転はセーフ」と判断しても、GOE減点要素は「<、<<判定を受けなくても採点ジャッジが回転が足りないと判断した場合には1段階評価引き下げ」というルールがありますし
フリーレッグが氷上を擦った場合は評価を1段階引き下げ、がっつり氷上についていたという場合は2段階評価引き下げというルールにもなっている。
採点ジャッジは9人が横並びになっているので浅田真央の着氷のつま先から降りてエッジがくるっと回る癖、
ぎりぎりまで足をクロスして氷上ギリギリでフリーレッグをほどく癖などは
角度によっては足りないと見えるジャッジもいますし「フリーレッグが氷上を擦っている」ようにも見えてしまう。
だから2段階評価を引き下げてしまうジャッジも出てきてしまうのです

宮原知子の逆回転スピンも同様でガイドラインには「回転の変更前、変更後のポジションが離れすぎ」「回転が遅い」などは
それぞれ1段階評価引き下げとなっています。採点ジャッジの中には
「ちょっとポジション離れすぎではないか」と思われてしまうところもありますし逆回転後のスピン速度はそれほど速くないので
マイナスをつけてしまうジャッジも出てきてしまうのです
というか、ほかのジャッジが+評価をつけているのに一人だけマイナスをつけても「『減点は複合可』『減点要素があっても加点を加味して良い』というルールになっている以上、マイナスをつけても正当化しようと思えばいくらでも理由づけができるようになっているのです

4.OAC監査システム

これもあまり知られていないルールですが、国際競技に関しては
はたしてジャッジの採点が正しかったのかという反省会もありますし、Ofifcial Assessment Comission( OAC)も設置されています
GPSやファイナル、ISU選手権、五輪などの公式戦で平均をとった採点ジャッジの数値から、
各々の採点がどれだけ逸脱しているかを割り出して監査をするというシステムです

GOEやPCSについては以下のようにしてジャッジの採点が逸脱しているかを調べるようになっています
【GOE】
採点の逸脱度(ショートプログラム技術点)
これはショートプログラムの例ですが、GOEについては【各要素1.00ずつ全7要素で合計7.00の誤差が生じると考えられています
ジャッジの平均点数値からジャッジAの採点でどれだけかけ離れているか、
平均より低い場合はその少なくなった数字を正数(絶対値)に置き換えて全部でどれだけの誤差が生じたかを計算していきます
この場合+評価では3.80も平均より高い評価が、-評価では3.00も少ない評価がなされているので
合計で逸脱した数値は6.80。 許容範囲とされている誤差は7.00までとなっているのでこの場合はOKという事になります

【PCS】
採点の逸脱度(演技構成点)
男女シングルの場合コンポーネンツ評価は全部で5つ。それぞれの評価で10点満点の15%ずつ誤差が生じると考えられているため
1.5×5=7.50が許容される誤差とされています
こちらの計算方法は+評価の逸脱した数値から-評価の逸脱した数値合計を差し引くという少々おかしな方式になっていて
平均値より3.60低く評価されて、平均値より高く評価されているのは4.00だから4.00-3.60=0.40で
こちらも7.50の誤差の許容範囲だからOKという事になります
平均からどれだけかけ離れた評価をしているかを割り出すのだからPCSの逸脱度も絶対値で出すべきだと思うんですけどね
絶対値だと逸脱している数値は7.60で許容範囲を超えて監査送りになってしまうので
採点ジャッジを監査送りにさせないために屁理屈こねてるようにしか思えんのだけど


ここで許容範囲を大きく超える評価などが見つかればOACからアセスメント(報告書送り)対象となって、
累積4度で報酬の没収や降格処分、資格はく奪の罰則を受けたりもします

採点ジャッジになるには英語が堪能でなきゃならないですしルールにも精通していなければならない
また技術審判には国際競技に出場したという実績も必須とされています
難度も実地研修を交通費も宿泊費も自腹で受けて難しい試験をパスして
漸くinternational資格や公式戦に参加できるISU資格を得ても
オフィシャルには選手ほど高額の報酬は用意されていません。ホテル宿泊費と交通費の実費支給と微々たる報酬のみです
報酬は少ないのに罰則は厳しい。1人平均とかけ離れた評価をしても選手の結果には反映されない、で
採点ジャッジが不正にかかわるメリットってあるんだろうかと思います。むしろデメリットの方が大きいのではないでしょうか



5.で、結局何が変わるのよ?
1人のジャッジが平均とかけ離れた評価を出しても上下カットで除外されて意味がない事
罰則規定があって平均からかけ離れた評価を出すメリットがないことは3.4で述べました
じゃあ何が変わるのよ、という話になりますが
今回の第56回アジェンダで結論が出たのはジャッジの匿名制の廃止だけ。
ので変わるのはジャッジ名がオープンになるという事だけです
国籍と採点ジャッジ名を開示してシャッフルして採点というのはGPSでとうの昔ににやっています

つまりは
2016世界選手権女子パネルジャッジリスト  
の表記が
2016スケートアメリカ女子パネルジャッジリスト
に変わるだけで、in random orderのジャッジシャッフルは続行でGPSのやり方に統一されるだけと違うのんか

という事になります
各々の採点ジャッジに責任能力を持たせ、逸脱した評価を出させないためには名前と国籍の開示だけで
なくジャッジのシャッフルを廃止して
だれが何番ジャッジとして採点したかも開示させるべきだったのではないでしょうか

長々講釈たれましたが以上が「匿名廃止だけでは何も変わらない」とした根拠でございます
拝読有難うございました
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